人とつながって光り出す交流会
平成28年7月22日(金)18:30から、パノラマレストラン・光彩(こうさい)で滑川LOBBYを開催しました。
LOBBY(ロビー)とは、「友達の友達と友達になる」をコンセプトにしたCEMENT PRODUCE DESIGN(有限会社セメントプロデュースデザイン)主催の異業種交流会。
これまで、企画で大阪や東京、京都、福岡、福井、新潟など日本各地で開催されてきました。
富山初となった今回は、「N+D=!プロジェクト(エヌディープロジェクト)」がセメントプロデュースデザインの協力を得て滑川市で開催。
「滑川を代表するホタルイカのように、人と人とがつながって光り出すこと」を目指し、モノづくり企業のトークセッションや立食ビュッフェでの交流会を行いました。
滑川市内はもちろん、上市町や魚津市といった周辺市町村の様々な分野で活動している方、およそ40人が参加しました。

モノづくりの視点から事業展開のヒントに
初めに、主催者である「N+D=!プロジェクト」の代表・桶川高明が挨拶し、滑川LOBBYの趣旨を説明しました。
「滑川地域が活性化するためには、色々な人がつながり、新しいコトを起こし続けていくことが大切です。今回は、有限会社セメントプロデュースデザインの代表取締役 金谷 勉(かなや つとむ)氏と、株式会社 高田製作所 代表取締役副社長 高田晃一(たかた こういち)氏をお招きしました。モノづくりの視点から新しいコトへ挑戦していらっしゃるお二人のトークセッションを通して、モノづくりに携わる方々やクリエイティブな方々、みなさまがそれぞれの事業の新しい展開を考えられる上でのヒントにしていただければと思っております。金谷勉氏には、N+D=!プロジェクトの一環として商品開発にご協力頂いていますし、高田 晃一氏はセメントプロデュースデザインと協業で『MAGONOTTE(孫の手)』や『<15.0%>アイスクリームスプーン』を生み出してきました。質疑応答の後、交流会で色々な人とつながっていただきたいと思っています。」

新しい視点でのモノづくり
続いて、セメントプロデュースデザイン 代表取締役 金谷勉氏と株式会社 高田製作所 代表取締役副社長 高田晃一氏とのトークセッションを開催しました。
お二人のプロフィールと、セッションの内容は以下の通りです。

【金谷氏のトーク】
セメントプロデュースデザインでは、地域産業協業活動(http://japan.cementdesign.com)として、日本各地の企業とともに販路も見据えた商品開発を行っています。
10年以上前から始めたLOBBY(ロビー)は、自社スタッフのコミュニケーション能力向上を目的にしたものでした。当初は大阪や東京で行っていましたが、福井や新潟の方からも声がかかり、地元の言い出しっぺを実行委員にして協力という形で、日本各地でLOBBYを行うようになりました。いきなり仕事の話をするのではなく、リラックスして会話をする中からつながりは生まれるんです。
新潟ではニット製造の方と金属加工の方がつながることで、グッドデザイン賞を取った湯たんぽと湯たんぽカバーが出来ました。普通であれば、最低ロット10,000個などの商談が、まず友達になることで「5個でもいいからとりあえずやってみよう」ということになります。そういった新しいコトを始めるきっかけを生み出しているのが、このLOBBYなんです。今日は15年近くお仕事をさせていただいている、高田製作所の高田さんもお呼びしたので、商品開発に関するお話などをしていければと思っています。

【高田氏のトーク】
今日は金谷さんとお仕事させていただいた流れなどをお話ししたいと思います。そもそも仏具屋を生業としてきているのですが、バブル崩壊後は売り上げがどんどん下がって来ました。そんな中で新しいコトに挑戦する必要があり、銅器以外のアルミ製品を作り始めたのです。今はインテリアやエクステリアにも商材を用意していますし、メゾンブランドのノベルティも依頼を受けています。馬具屋が元々のブランドさんからお仕事を頂いたきっかけは東京のLOBBYで、こうやって金谷さんと話をする「職人バー」を行わせて頂きました。その後、錫(すず)の小物を作るワークショップを東京で開いたとき、LOBBYでの噂を聞きつけたブランドの担当者さんに参加して頂けました。そういったところから仕事につながっていくので、色々な場に出ていくことはとても大切だと思います。
弊社の商品として、今では『<15.0%>アイスクリームスプーン』が有名ですが、それ以外にもタイルや器などを作っています。
器は、高岡の漆器(しっき)職人の方と一緒に作ったものです。元々は木を芯材にして漆(うるし)を塗っていたのですが、問屋さんの指示で芯材を外国製の樹脂に変えました。中が樹脂であっても、漆塗りしてあるものは「漆器」になるんです。そこで金谷さんと一緒に何か作ろうということになり、この器のデザインをして頂きました。金谷さんとはお互いにフィーリングが合い、その後も色々と仕事をお願いしています。
今はうちの鋳造と愛知県の宝飾作家さんの協業で、アルミの『MAGONOTTE(孫の手)』を作りました。これも、デザイナーさんから言われたことをそのまま受け入れるだけでなく、自分たちで、持ったときのバランスを考えたり調整したりしています。
こういった新しいコトを始めるにあたって、社員からの反発もありました。アルミ製品を作り始めた時にそれまでいた社員が辞めてしまい、短期間の間で社員を入れ替える必要がでました。おかげでいま35人社員がいるのですが、平均年齢36歳と、高岡の業界の中ではかなり若い人間で仕事を行っています。その入れ替わりの時期を境に、弊社の業績は伸び続けています。

新しいジャンルへの挑戦と独自性
トークセッションは、およそ1時間で終了。
現在進行形で新たなヒット商品を生み出し続けているお二人の話に、LOBBY参加者のみなさんは興味深く聞き入っていました。
「N+D=!プロジェクト」の代表・桶川高明も一緒に、滑川市の惜しいところや可能性、富山県について話し合い、観光の活かし方を模索しました。
参加者のみなさんからは、次のような質問が出ました。

――伝統を変えるときの恐怖や批判はありませんでしたか?
最初はノートPCのような簡易的な仏壇を作って、直販してみました。そのときに多方面から批判を受けたんです。そのとき感じたことは、既存のモノを変えて売るのは難しいということ。だから今は仏具ではなく、新しいジャンルへ挑戦しています。そうすることで、周りも守っていけるんです。(高田氏)

――孫の手のこだわりを教えてください。
型おこしを外注に頼んで技術が盗まれてしまうのを防ぐため、3Dプリンタを使って自社で製造を行っています。(高田氏)

このほかにも様々な質問が出て、参加者のみなさんがトークセッションから刺激を受けた様子がうかがえました。

LOBBYから始まる人脈と可能性
トークセッションの後、金谷氏・高田氏を交えて立食ビュッフェでの交流会を行いました。

「N+D=!プロジェクト」では今後、滑川市内の企業を対象に、セメントプロデュースデザインの監修で商品開発を目指しています。交流会の中で、応募した企業の担当者が自社をPRし、可能性を探りました。

参加者のみなさんは、新鮮な刺身の舟盛りを始めとする多彩な料理を味わいながら、自社の展望や滑川の将来について、活発に懇談。盛んに名刺交換が行われ、至るところで新たな人脈を築いていました。
新しいコトが始まるときは何らかのきっかけがあり、人とつながることで、そのきっかけは増えていきます。
今回の「滑川LOBBY」が人と人とをつなぎ、新たな可能性を生みだすきっかけとなれば幸いです。

有限会社セメントプロデュースデザイン 代表取締役 金谷勉氏、株式会社 高田製作所  代表取締役副社長 高田晃一氏、そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

開催後に、「ぜひまた開催してほしい」という嬉しい声をいただきました。
今回は残念ながら都合が合わず参加できなかった方も、次回はぜひご参加ください。開催日程が決まり次第、こちらのページでお知らせいたします。

「N+D=!プロジェクト」実行委員会